先日、荷物を整理していたら古びた大学ノートがでてきました。日付は私が修行から帰ってきた年の昭和63年11月から翌平成元年4月までの間、私が旅館大沼を継ぐにあたって、思いついたことをほとばしるような勢いで書き連ねてありました。私はその中に書いてあることを読んで愕然としました。今私が温泉について考えていること、そして当時リゾート法に浮かれていた世の中への危惧、これからの日本における保養、温泉医学、湯治のネットワーク、旅館大沼の経営方針などについて、現在と同レベルかそれよりも深い考察を加えて書かれていたのです。私は15年間もの間、一体何をやっていたのだろうという思いに襲われました。その間、毎日毎日試行錯誤して、まわりまわってまた原点に戻ったのです。その当時のノートの「なぐり書き」から少し抜粋してみたいと思います。
「最大の資源は自然と温泉」
「人と健康を結ぶ」
「人々に低料金で多くのご利益を与えなければならない」
「自分には温泉という素晴らしい天の恵みがある。これを世のため人のために活かすべし。」
「温泉は大地の乳だ」
「温泉の力を伝える宿」
「何もせず、くつろぎながら健康になる」
vol.1 幼い頃の湯治の記憶 | vol.2 進学・修行・帰郷 | vol.3 立て直し |
vol.4 暗中模索 | vol.5 妹の死 | vol.6 温泉は天の恵み |
vol.7 15年前のノート | vol.8 共有そして共生へ | >> トップへもどる |